【Infiniteギター】オーダーメイド第二弾 Trad JM TATARA 中編 製作工程

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著者:木村家ヰサク
Infinite Trad JM オーダーメイドモデルの製作工程についてお送りします。

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前回記事ではオーダーメイドギターのスペックについて解説しました。
今回も経緯と製作工程について書いていきます。

完成予想図

今回も例により前もって完成予想図を作成しました。

製作工程

設計

作成した完成予想図とスペックシートを基に、CADデータが起こされました。

Trad JMのシェイプです。
ちゃんとファンドフレットの溝も入っています。

スワンプアッシュ1Pのチェンバーボディ

「ライトアッシュ1Pのいいのが入ってる」とのことで、軽いウェイトと立体的な導管を狙います。

非常に軽くエアリー感のあるチェンバーボディです。

イタヤカエデとブラックウッド指板のネック

今回もサップが入った指板材を起用しました。

これは素晴らしい。なんという美しさでしょう。

とてもよいサップウッドです。
この中から一番波紋の波動を感じるものを選びました。

かなり切れ味が良さそうですね。

ネックはレア材のイタヤカエデです。日本のハードメイプル。

ギターの愛称をカエデちゃんにしようかと思いましたが、前回のTrad Tが姉機、今回が弟機なのでやめました。

今回も「鬼」ロゴ。(画像は塗装後)

ペグが装着されました。
ゴトー社のボタンロックは軽く、非常に使いやすいです。

仮組み?がされ、完成形が見えてきました。

ゆるやかカーブのピックガード

ピックガードも手作りです。
モダンテイストの緩やかなカーブにしてもらいました。

ゆるふわですね。

導管残しの漆黒仕上げ

塗装ではかなり深めの導管が現れていたので、1度だけ修正を掛けて埋めてもらいました。

トップは多少の木目が感じられる程度とし、バックは強烈なアッシュ模様が浮かびます。

ジョイントはセットネックで

ジョイントはInfinite特有の小菊ロジックですが、今回は設計の都合によりセットネックとなりました。
これが非常にプレイアビリティが高く、ハイポジションでのストレスをとことん減らすことができているのです。

24フレット近辺でのペンタトニックフレーズも容易に弾けてしまいます。

ピックアップ選び

PU選びは難航しました。

今回は2ハムでいくことは決めていたし、モダンでハイゲインなサウンドが出せるようにすることも決めていました。

しかし、筆者が使用したことがあるハムバッカーは57Classic、490R-498T、ヴードゥ59、フィルタートロンくらいで、それもなんとなく使っていただけでした。
なので、私は決してピックアップ博士ではありません。

もっと言うと、自分がどういったピックアップのレスポンスを求めているのかを自分でも分かっていなかったのです。
美容室に行ったはいいが、自分でもどういう髪型にしたいか分かっていないみたいな感じです。

冗談のような話ですが、ディレクションにおいてとても重要なところなんですよね。

さて、今回自分で選んで候補に上げたピックアップのリストです↓

  • FISHMAN Fluence Tosin Abasi 6
  • Fender TWIN HEAD MODERN HUMBUCKING
  • Bareknuckle NAILBOMB HUMBUCKER
  • Bareknuckle THE MULE
  • Dimarzio D Activator DP220 + DP219
  • SEYMOUR DUNCAN NAZGUL
  • Suhr SSV
  • EMG89

なかなか出力が高そうなものが出揃っていますね。

私は特にブランドには拘っていないので、マッチするものであればなんでもいいというスタンスです。
この中だとFenderのものはわざわざオーダーモデルに使用するようなプレミア感はありませんが、自分の欲しい音が得られるのであれば積極的に試してみたいものです。

フィッシュマンのトシンアバシモデルはまさにアクティブらしい柔軟性のある機種で、ハムからシングルの音までバッチリ出るようです。

ぜひともチャレンジしたく最後まで候補に残っていましたが、今回はパッシブトーン志向でいくということで断念しました。

いろいろ考えた末、取り敢えずは八田氏のおすすめによりベアナックルのHolydiverをチョイスすることになりました。

しかしHolydiverも素晴らしいピックアップでしたが、その後最終的にDimarzioのEJ Customに替えることとなりました。
自分が望んでいたピックアップに最も近かったのは、フィルタートロンやP90のような、センシティブなレスポンスが得られるタイプだったようです。

配線

2ハム5wayの配線もどうするかいろいろと考えました。

スイッチを色々付けることで色んなサウンドバリエーションを得ることも考えました。
ですがそれではどうもユーザビリティが下がり、実用性が下がってしまうようでした。
なので、できるだけシンプルな構成にすることにしました。

YoutubeでTom AndersonのAngelのサンプルを見て、これと同じ構成にすることに決めました。

2ハムとは思えないクレイジーなサウンドですね。

この配線では、パラレルのシングルトーンを出すことができます。
ノイズレス路線で行きたい自分のニーズにマッチしていました。

できた

無事、組み上がりました。

3年間の保証書兼・スペックシートが付きます。

Infiniteはオーダーがおすすめ

友人の工房なので、正直に言って贔屓目に見ているところもありますが、既製品のInfiniteモデルであっても実売50万円以上のハイエンドギターと比べても遜色ないクオリティだと感じています。
トムアンダーソンやサーを考えている人はInfiniteを候補に入れても良いでしょう。
また、客観的なスペックから見てもコストパフォーマンスは高いです。

しかし時間は掛かりますが、オーダーもおすすめです。なぜかというと…

→自分が求めているギター像を、じっくりと考えることができるため。

→1つ1つのパーツや製作工程を見直すことで、ギターの知見が高まるため。

独創性の高いギターだけでなく、希少価値のある体験=財産としてのオーダーメイドはいかがでしょうか。
話のネタにもなります😃

次回は

次回はギターを2本オーダーしてみて分かったことを書いてみたいと思います。