目次
概要
零号機となった前回のオーダーメイドに続き、初号機のモデルが完成しました。
というよりしていました。2018年の6月には出来上がっていたのですが、諸事情により記事を書くのが随分と遅くなってしまいました。
前回のInfinite Tradを基にしたギターの記事はこちら↓
ギターのオーダーメイドを通じて | 前編-ONIBAMI-00
零号機のオーダー時はまだInfiniteブランドも完全には策定していない状態でした。
今回はその時できたモデルを踏襲しつつ、ブラッシュアップの目的も兼ねたオーダー依頼となりました。
ハイエンドミュージック八田氏は友人ではありますが、前回と同じく正規の手続きでオファーしています。
それでは早速見ていきましょう。
前編ではスペックを中心にご紹介します。
コンセプト
わびさびコンセプトや伝統的フォルム・モダンサウンド、高いプレイアビリティなどは前作を踏襲し、零号機の姉弟モデルとして位置づけました。
ただ今回はよりハイゲイン(ノイズレス)で静かな狂気を感じさせるものを目指しました。
名はTATARAです。
鑪=純度の高い製鉄法より考えました。
小菊ロジック…でも「セットネック」のジョイント
八田氏より提案を受け、ボルトオンではなくセットネックとなりました。
ハイポジションではより高いプレイアビリティを得ることができます。
イタヤカエデのネック
ネックには日本のハードメイプル・イタヤカエデ材がチョイスされました。
指板はエキゾチックウッド(おそらくブラックウッド)を採用。
前回と同じく”波紋”指板となっています(勝手に名付けたった)。
これでもうすっかり波紋使いですね。
フレットも同じくJescar#57110ステンレスです。
EJ Customピックアップ
当初はベアナックルのHolyDiverを載せていたのですが、しっくりこず替えることに。
いろいろ試した結果DimarzioのEJ Custom(DP211・DP212)を採用しました。
こちらはハムバッカーの中では異質なモデルで、かなり分離感が強く出力も低めです。
しかしシングルコイルのような繊細なレスポンスを得られ、またノイズは少なくハイゲインハイエンドなサウンドを得ることができました。
今回伝法に行ってた理由の一つがこれ。PUをベアナックルからDimarzio EJ Customに変更して調整してもらっていた。非常にハムらしくないけど深く歪ませるとハムっぽくなる不思議なトーン。これまでパラレルトーンばかり使用してたけど、シリーズが使いたくなるサウンドになった😃 pic.twitter.com/y64nbgPjiK
— 木村家ヰサク@人舎 (@IsaacKimurake) November 2, 2018
5wayコントロールとタップスイッチ(センターミックスのみ有効)により、パラレルのシングルトーンからシリーズのハムサウンドまで多様な音色に対応しています。
40mm幅ナットのスーパーナローシェイプ、「鬼ロゴ」やバズフェイトンチューニングインストール、ロック式ペグも変わらず。
ただゼロフレットは摩擦の要因を減らすため廃止しました。
94%サイズのスワンプアッシュボディや導管残しフィニッシュも変わらず。
重量は約2.8kgとなかなかの軽さです。
サウンド・弾き心地は
生音はセミホロウボディのようなエアリー感があります。
音量自体はは零号機とほぼ同じ(40cm距離で最大74db程度)。
サウンドは、繊細でブライトなクリーンから狂ったようなハイゲイントーンまでカバーし、静かな狂気を感じさせます。
出力後のセッティング如何によっては分厚いレスポールからブライトなテレキャスターに近い音まで出せそうです。
完全に自分の好みに合わせているのでプレイアビリティは非常に高く、トラディショナルな見た目とは全く違うコンフォート(快適)さが追求されています。
また奏者に対するレスポンスも非常に良いです。
基本的なところはきちんと抑えていて、ハイエンドギターらしい万能さを持っていますが、ヴィンテージギターのような特出したところも併せ持っています。
注意点
スケールダウンされているTradシリーズは小ぶりで扱いやすいです。
ただフェンダー系のレギュラーサイズのギターと同じ感覚で弾いていると、ピッチがずれてしまいます。
特にこのオーダーモデルはナット幅が40mmなので、弦落ちすることもあります。
反面、少ない力で大きなレスポンスを得ることができるため、幅広い表現が可能になります。
その代わり、より繊細なコントロールが要求されます。
ハイスペックながら、ちょっとピーキーなところがあるといった感じでしょうか。
👆前半はTrad T。後編に登場
どれも5F1系のカスタムチューブアンプを使用しているのですが、このコンボアンプはキャビネットが6インチスピーカーなのであまり参考にならないかもしれません。
次回は
次回記事では製作過程について、写真を交えながらお話します。
書きました。→中編(製作工程)
INFINITE ONIBAMI-‘TATARA’ SPEC
Body
Body Material | 2P Swamp Ash on Swamp Ash |
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Body Style | Chamber |
Body Shape | Drop Top 94% Size Trad JM |
Body Finish | Gloss Nitrocellulose Lacquer SHIKKOKU Wabisabi Sealer |
Neck
Neck Material | Itaya-Kaede |
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Neck Finish | Satin Nitrocellulose Lacquer Finish on Back of Neck with Gloss Nitrocellulose Lacquer Headstock Face |
Neck Shape | C Shape Nallow |
Scale Lengths | 633mm – 624mm |
Tuning System | Buzz Feiten Tuning System |
Fingerboard Material | Blackwood(Sapwood) |
Fingerboard Compound Radius | 10-14″ |
Frets | 24F Jescar #57110 Stainless |
Joint | Kogic Logic SetNeck Queen Cut |
Nut Material | Task |
Nut Width | 40mm |
Position Inlays | Large Abalone Dots |
Truss Rod | 2-Way Adjustable |
Truss Rod Nut | Heel-Mounted Spoke Wheel Adjustment |
ELECTRONICS
Bridge Pickup | Dimarzio EJ Custom DP212 |
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Neck Pickup | Dimarzio EJ Custom DP211 |
Controls | Master Volume,Tone,TapSW |
Switching | 5-Position Blade: 1. Bridge Pickup 2. Bridge Parallel Pickup 3. Bridge and Neck Pickup 4. Neck Parallel Pickup 5. Neck Pickup |
Configuration | Noiseless Shield 2H |
HARDWARE
Bridge | GOTOH Wilkinson VS100N |
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Tuning Machines | GOTOH SG381-MGT-AB07-L6-C |
Pickguard | 1-Ply Tortoiseshell |
Control Knobs | Wood nob |
Switch Tip | Parchment |