前置き
くらぎです。
プロダクションや個人で音楽機材を購入する際、いくつもあるメーカーから選択するのはなかなか骨が折れる作業です。
ブランドイメージ、スペック、過去に使用した信頼性などいくつかの基準がありますが、音楽機材(特にミックス系の機材)ではブランドよりも「使えるか」が重要になってきます。
シビアな目線になりやすいわけですね。
現代人は昔と比べて消費行動の前に数段階もの下調べを行います。ナイスガイな店員さんに相談して「ハイオッケーこれにします」とはなりません。
実際に試すのが一番早い
うだうだ考えるよりも最も効率的な方法は「実際に試す」事です。例えばマイクを選定したいならいくつものマイクを購入して実際に短期運用してみると分かり易いです。
仲間たちを集めて丸一日、品評会を行い、きちっとレポートするという手もあります。
経験者に情報を求める
すでに機材を所有している先人たちに情報を訊いて回るのも手です。しかし自分の条件とぴったり合う保証はありません。
まあ、とは言っても音楽機材のメーカーは多すぎます。試すにしてもあり程度の選定は行いたいもの。
そこで今回はネットで機材の比較、試聴ができるサイトを集めました。
マイク
Vocal Mic Shootout | Sweetwater
With 50 microphones ranging from $49.99 to $8,995 (on both male & female voices), Sweetwater has put together one of the largest comprehensive mic shootouts ever. Start listening now!
50本ものマイクの音源を集めたサイトです。ソースは男女のボーカルのみですが、オケありのイメージも掴むことが出来ます。
MANLEY、Soundelux、TELEFUNKEN… 何故ノイマンが多くのメーカーのモデルとされているか良く分かりますね。
Rock oN Company:録りたい素材に最適な、あなたのマイク選びをお手伝い!
1本のギターと1本のマイク。ここからさまざまなマイクプリを通して、同じ条件レコーディングを行いました。そのプレーンなオーディオ・データをご試聴いただけます。各社さまざまなキャラクターをもつ製品が充実している中、ご自分の求めるサウンド選びにぜひご参考ください!
散布図による系統分けが分かりやすいです。
ワンランク上のマイク選び~定番マイクを聴き比べ | Digiland (デジランド) 島村楽器のデジタルガジェット情報発信サイト
お願い)本記事で紹介しているサンプル音源は、ぜひモニタースピーカーや高品位ヘッドホンでお聴きください。
定番の機種の聴き比べが出来ます。
どのように選べばいいのか
周波数帯域の特性だけではなく、音の厚みやソースによって変わる収音を評価する必要があります。
例えば、前に押し出すメインボーカルを録りたい場合は中域に厚みのあるマイクを使用し、それ以外のパートには存在感の少ないものを使用します。
声を楽器のように扱いたい場合は逆のようにします。
ボーカル録りでは一聴して同じように聴こえる2本のマイクでも、弦楽器など倍音の多いものを収音するとぜんぜん違う結果に別れる場合もあります。
他の楽器と混ざった時や、EQ、コンプレッサーを掛けた時などミックスを想定すると良い結果が得られるでしょう。
マイクプリアンプ
珍しいペダルタイプのものもありますね。
Rock oN Company:録りたい素材に最適な、あなたのマイク選びをお手伝い!
1本のギターと1本のマイク。ここからさまざまなマイクプリを通して、同じ条件レコーディングを行いました。そのプレーンなオーディオ・データをご試聴いただけます。各社さまざまなキャラクターをもつ製品が充実している中、ご自分の求めるサウンド選びにぜひご参考ください!
こちらもマイクと同様に散布図による系統分けがされています。定番と言われるものも多いですね。
プリアンプは音を増幅する装置であるので、ソースの音量が小さい程その機器の特徴が現れます。
また出力が低いダイナミックマイクでも同様です。
依ってギターアンプやドラムスよりもアコースティックギターや囁くようなボーカルにて気を遣う事になります。
ヴィンテージハードウェア vs モダンシステム
従来の名機プリアンプやコンプレッサーなどのプロセッサーと、最新のオーディオインターフェイスとプラグインを使用したモダンなシステムの比較です。
モダンシステムはUniversal AudioのApollo & Unison / UAD Plug-Insが使用されています。各セクションごとのレコーディング図が分かりやすいですね。
Apollo & Unisonはデジタル制御のアナログマイクプリアンプで、アナログ特性自体を操ることで610や1073などのプロセッサーをシミュレートすることが出来ます。
コンプレッサーなどエフェクトはプラグインです。
説明文のリンクよりwavファイルがダウンロードできます。やはりハードウェアの方がやや立体的で生き生きとしたサウンドです。
しかしながら、それはボーカルのコンプレッサーのプラグインに依るところが大きい気がします。それ以外の部分ではモダンシステムも正直言ってかなりいい線ではないでしょうか。
価格と手間を考えれば、デジタルなシステムが発展していくことを願ってやみません。
ニアフィールドモニター
HEAR THE REAL TONE 2017 ~ Near Field Monitors編 ① ~ | Rock oN Company
宅でスピーカー比較! リスニング環境 今回はいかにフラットに聴いていただくかを考えその結果、日本音響 さんの音響研究所をお借りしました。これならばイコールコンディションに近い状態になるはずです。
いくらなんでもスピーカーの試聴は流石に無理…かと思いきや、ありました。
ダミーヘッドマイクや測定用マイクによる収録音源によって、ある程度の傾向を掴んでしまおうというわけですね。
KU100(ダミーヘッド)はリファレンス用のヘッドホンで、QTC50はスピーカーで確認すると良いかもしれません。
ハイテク化する機材
一言で機材と言っても、コンポーザー、エンジニア、プロデューサーなど立場によって重要な要素は変わってきます。
作曲からマスタリングまでを一人でやってしまうようなクリエイターにとっては、機材に掛かる労力が足枷になってしまう事もあるでしょう。
機材に悩んでいる暇があったら多少音質が納得の行くものでなくとも、その間に作品を何作も作ることの方が価値があるかもしれません。
UADのモダンシステムのように安価でシンプルなシステムを使用したり、あるいは一部だけアウトボードに頼るという方法はとてもいい考えです。
近年はCPUの性能が上がり、開発技術もアップし、こもりがちだったプラグインの冷たさもかなり減りました。サミングをシミュレートするソフトもあります。
高価なアウトボードを通すだけでなく、リアンプなどの数多くの手法を試す楽しみもあります。
サチュレーション付与やEQのような従来のマイクシミュレータではなく、Sphere L22のような新しい手法のものも登場しました。
これからは小さいプロダクションでもより自由な制作が行えるでしょう。その先にこれまでとは違う新しい発想が待っているかもしれません。